2021年5月21日金曜日

アルツハイマー型認知症について 治療薬 効果 仕組み 副作用 薬以外の方法 生活のおくりかた

残念ながらアルツハイマー型認知症は、現代医学では治療はできません。

しかし、進行抑制のための薬がいくつかあります。ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンの3剤はいずれもコリンエステラーゼ阻害薬といわれ、アルツハイマー型認知症の脳内で不足しているアセチルコリンを増やす作用があります。これにより集中力、覚醒度が上がります。メマンチンは、アルツハイマー型認知症の脳内で過剰になっているグルタミン酸の作用を阻害するという作用があり、神経保護や脳内のシグナル伝達をスムーズになります。これらの薬は、認知症の進行を止めることはできませんが、進行をゆっくりにする効果があり、精神的に落ち着いたり、日常生活動作を維持するといった作用も報告されています。薬には副作用もあるので、医師の説明をよく聞いて使用してください。薬の飲みすぎや、飲み間違いにより、精神的に不安定になったり、予期せぬ副作用が出ることもあります。

認知症の進行抑制のためには薬も大事ですが、脳を実際に使うことも重要です。自宅にこもらないで、人と会うようにする、適切な生活リズム、食事、睡眠などは、大事な要素です。筋力を維持するための運動、リハビリテーションも大事です。

可能であれば、なにか役割を持つことも重要です。せっかく薬をつかって進行を抑制する以上は、生活自体の質をあげていくことを目指していくこと、そして、たくさんの思い出を作ることが大切です。


2021年5月14日金曜日

アルツハイマー型認知症について 診断の仕方、臨床診断と病理診断 画像診断 アミロイドイメージング 検査は大変?

アルツハイマー型認知症の確定診断のためには、脳の組織を顕微鏡でみて、アミロイド、タウを確認することが必要です。顕微鏡での診断を病理診断と言いますが、なかなかそこまでする方は少ないかと思います。研究機関や、病理を専門とする病院に通院している患者さんで、亡くなったあとに、調べることを希望している場合は、病理まで調べることがあります。

生きている間の診断は、病理診断は難しいので、医者によるいくつかの頭を使うテスト(認知機能の評価)に加えて、頭部CT,MRI検査、脳血流SPECT検査、FDG-PET検査、アミロイドイメージングなどもあり、診察と検査を組み合わせて診断することが一般的です。アミロイドイメージングは、顕微鏡でみるアミロイドを見てはいますが、アミロイドそのものをみているわけではないですし、アルツハイマー型認知症はアミロイドだけが溜まるわけではないので、やはり臨床症状と合わせた解釈が必要です。

臨床診断と病理診断の一致度は、高くても8割程度と言われています。また、病理をみたからといっても、必ずしも診断がつくということではありません。神経の病気の診断というのは、非常に難しく、また、診断がついても、治るとは限らないところが、難しいところです。

しかし、いくつかの検査を組み合わせることで、脳の状態への理解が深まるので、診断が、つかなくても、医師の中には、病態についての仮説を組み上げることができます。そのため、患者さん個別の病状に応じた、対応や、ケアの上でのアドバイスを行うことができます。

また、検査をすることで、医師の間での、情報共有もしやすくなります。

特に早期診断の場合は、検査を組み合わせる必要がありますが、認知症との付き合いは、長いので、客観的な検査を行っておくと、のちのちの医師にとっても診療上有用であり、より最適な診療、ケアの助けとなるでしょう。

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