2021年4月30日金曜日

アルツハイマー型認知症について 原因 海馬 記憶障害 どうなっていくのか 介護

老年期に発症する認知症の中で一番頻度が多いのが、アルツハイマー型認知症です。

アルツハイマー型認知症患者さんの脳では、アミロイドβ、タウ、といわれるタンパク質が蓄積しています。これらの異常蛋白の影響で、記憶を司る海馬といわれる場所を中心に、神経細胞死が起こってきます。異常タンパク質は、50代ころからだれでも蓄積されるものですが、どうしてたまってくるのか原因はまだよくわかっていません。体質や生活習慣などの複合的な要因が影響すると考えられています。

典型的なアルツハイマー型認知症は、海馬が中心に障害されるので、初期の症状は「物忘れ」です。これは、覚えたことを忘れる、というよりは、新しいことを覚えられない、といった症状でみられます。同じ質問を何度もする記銘力の障害、食事をとったというエピソードまるごと覚えていないというエピソード記憶障害などがみられます。ものをしまった場所を忘れてしまって、誰かにとられたと考えてしまう、「物取られ妄想」は、アルツハイマー型認知症に特徴的です。他にも、日時や場所が答えられない「見当識障害」も出てきます。

アルツハイマー型認知症の患者さんは、前頭葉は比較的後期まで保たれます。質問に対して答えられないときに、言い訳をしたり、ニコニコして話を合わせたり、隣の人に質問をそのまま回してしまうなどの、「取り繕い行動」もみられます。これは、前頭葉の、他人とのコミュニケーションを円滑にしようとする能力が働いているためです。

異常タンパク質は、年単位で徐々に蓄積していきます。アルツハイマー型認知症の初期には、歩いたり手を動かしたりするための運動神経症状は初期は目立たないことが多いですが、脳全体にタンパク質が溜まってくる中等度~重度となってくると、運動神経障害も出現してきます。歩行がふらついて転び易くなる歩行障害や転倒、食事の飲み込みがしにくくなり、やわらかいものでないと、食べられないなどの嚥下障害、誤嚥といった症状が出てきます。この時期には、移動、トイレ、入浴、排泄、食事に介助が必要になってくるので、介護者の負担が徐々に増えていきます。

嚥下障害のため、食事の量が少なくなると、体力低下、免疫力低下がみられるので、感染症にかかりやすくなります。肺炎でなくなる方が多く、残念ながら、病期の経過は、だいたい7~10年程度といわれています。ただ、認知症になったから、寿命が短くなったかどうかについては、大きな影響はないだろうといわれています。

2021年4月6日火曜日

介護保険サービスについて 仕組み 申請 介護度 サービスなど ケアマネージャーさんには何を相談すればよいのか

認知症の診断がつけば、介護保険サービスの申請ができます。

(軽度認知機能障害の場合は、介護保険サービス申請はできますが、ケースバイケースのこともありますが、専門医と相談が良いと思います。その他の病名や状況に合わせて包括的に判断されます。)

介護保険の申請は、市区町村の役所か、地域包括支援センターと言われる施設の窓口にになります。

介護保険の申請を行うと、本人を調査する「認定調査」が行われ、「主治医の意見書」と合わせて認定会議が行われ、状態に応じた介護度が認定されます。

要支援1~2、要介護1~5のいずれかに認定されます。

介護度に応じて、利用できるサービスの上限が変わってきます。また、地域によって利用できる支援サービスが異なります。必要なサービスはケアマネージャーさんと相談して決めていきましょう。

在宅のサービスとしては、デイサービスやリハビリ、ヘルパーさんの導入、自宅の手すりやベッドなどのレンタル、ショートステイなどの利用があります。

入所サービスとしては、グループホーム、特別養護老人ホームなどがあります。

有料老人ホームもありますが、介護保険の利用を組み合わせることもありますので、介護認定はあったほうがよいです。

介護保険は、必要なときにすぐに利用できる制度ではありません。例えば、何らかの病気で入院したけれど、介護保険を申請していなかった、となると、申請から2ヶ月程度時間がかかることがあります。65歳以上で、持病がある、などであれば、主治医と相談して、介護保険の申請を早めに考えてもよいかと思います。


最近は、コロナの影響で、遠隔で介護をしなければならなことも増えてきています。こういう制度があることを早めにしっておいて、気がついたら認知症がすごく進んでいた、ということにならないように、早めに考えていたり、ケアマネさんと普段からコミュニケーションをとっておくことが大事です。

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