新しい論文が受理されたので、簡単に解説をします。
A Severe Dementia Case in End of Life Care with Psychiatric Symptoms Treated by Perampanel
Journal of Epilepsy Research 2021; 11(1): 93-95.
この論文は、ペランパネルというてんかんの薬が、重度アルツハイマー型認知症患者さんのミオクローヌスというてんかん発作や、大声多動といった精神症状に効果があり、かつ、予後も良くした可能性があることを報告した症例報告です。
高齢者は、てんかんの頻度が比較的高いと言われています。
てんかんのせいで認知症みたいになる人や、
認知症の合併症としててんかんをがっぺいしてくる人がいます。
この症例は、重度のアルツハイマー型認知症患者がてんかんを合併して、非常に落ち着かない状態になっていました。いろんな薬をつかったけれど改善が乏しく、試行錯誤の末、ペランパネルを使ったところ、症状が落ち着いたという症例です。
ペランパネルは、AMPA型グルタミン酸受容体の阻害薬という新しい抗てんかん薬です。
アルツハイマー型認知症の患者さんの脳ではグルタミン酸が増えていると言われており、アルツハイマーの治療薬であるメマンチンは、NMDA型のグルタミン酸受容体の阻害作用を有し、進行抑制の効果があると言われています。ペランパネルは、AMPA型で、少し違いますが、グルタミン酸が多いと考えられますので、効果があったのは、そのせいかと考えられます。
認知症患者さんの問題行動についての治療エビデンスは、少ないですし、認知症患者さんに安易に向精神薬をつかうと、予後を悪くするとも言われています。このケースは、治療がうまく行って、かつ予後も良かったということで、非常に示唆に富む症例であったと考えられ、英語の論文として、海外の雑誌に受理されました。
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