アルツハイマー型認知症の確定診断のためには、脳の組織を顕微鏡でみて、アミロイド、タウを確認することが必要です。顕微鏡での診断を病理診断と言いますが、なかなかそこまでする方は少ないかと思います。研究機関や、病理を専門とする病院に通院している患者さんで、亡くなったあとに、調べることを希望している場合は、病理まで調べることがあります。
生きている間の診断は、病理診断は難しいので、医者によるいくつかの頭を使うテスト(認知機能の評価)に加えて、頭部CT,MRI検査、脳血流SPECT検査、FDG-PET検査、アミロイドイメージングなどもあり、診察と検査を組み合わせて診断することが一般的です。アミロイドイメージングは、顕微鏡でみるアミロイドを見てはいますが、アミロイドそのものをみているわけではないですし、アルツハイマー型認知症はアミロイドだけが溜まるわけではないので、やはり臨床症状と合わせた解釈が必要です。
臨床診断と病理診断の一致度は、高くても8割程度と言われています。また、病理をみたからといっても、必ずしも診断がつくということではありません。神経の病気の診断というのは、非常に難しく、また、診断がついても、治るとは限らないところが、難しいところです。
しかし、いくつかの検査を組み合わせることで、脳の状態への理解が深まるので、診断が、つかなくても、医師の中には、病態についての仮説を組み上げることができます。そのため、患者さん個別の病状に応じた、対応や、ケアの上でのアドバイスを行うことができます。
また、検査をすることで、医師の間での、情報共有もしやすくなります。
特に早期診断の場合は、検査を組み合わせる必要がありますが、認知症との付き合いは、長いので、客観的な検査を行っておくと、のちのちの医師にとっても診療上有用であり、より最適な診療、ケアの助けとなるでしょう。
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