横浜市と、(公財)木原記念横浜生命科学振興財団との共催で行われた講演会、「ジェンダード・イノベーションが社会を変える ~未来を変えるこれからのイノベーション~」で講演をさせていただきました。
以下、私の講演のまとめとなります。
なお、講演でもお話しましたが、男女で分けてデータを提示してお話しましたが、重なりあう部分もかなり多いです。群間としては、統計的に差があったり、特徴があっても、それを個別の事例に当てはめて検討する場合は、当然ながら個別の事情を勘案する必要があります。男女で、わかりやすく物事が分かれるものではないことをご承知おきください。
脳の性差
- 性分化: Y染色体の有無で性別が決定され、テストステロンの影響で脳が性別に応じて分化。
- 脳の構造的性差: 男性・女性それぞれ特有の特徴があるが、個人レベルではモザイク状に性別の特徴が混在。
- 認知機能の性差: 言語的記憶は女性が優位、しかし個体差が大きい。
- ネットワークの違い: 認知課題時に活性化する脳領域が性別で異なる。
認知機能の性差
- 女性は男性に比べ言語記憶能力が高いが、重なりが大きい。
- 高齢者において、認知症リスク要因が性別で異なる。
- アルツハイマー型認知症: 女性が長寿であるためリスクが高い。(男性は、生活習慣病などの影響で、がん、心臓病、脳卒中の割合が多く、死亡率も高い。女性の痩せている方がよい、という社会的な観念が、生活習慣病の発症を抑えていること、などが複合的に寿命に影響しているかもしれない。)
- 血管性認知症: 年齢により男性・女性で発症率が逆転。
- レビー小体型認知症: 男性に多い。
心理の性差
- ストレスと悩み: 女性が男性よりストレスを感じやすい。
- ホルモンの影響: ホルモン変化がうつ病発症率に影響。
- 環境的要因: 女性は小児期の逆境体験や成人後の対人暴力を経験しやすい。
- 反芻傾向: 女性に多く見られる。
ジェンダーによる性差(高齢者認知症分野)
- 身体的特徴:
- 男性: メタボリックシンドローム関連疾患が多い。
- 女性: 精神的・身体的フレイル、ロコモティブシンドロームが多い。
- 精神疾患:
- うつ病や認知症の性差。
- 自殺: 男性の遂行率が高いが、女性は試みる回数が多い。
Well-beingへの提言
- 自助:
- 主観的幸福感とマインドフルネスが重要。
- マインドフルネス特性は女性で高い傾向。
- 互助:
- 社会参加や対人関係の質が認知機能維持に寄与。
- 男性は役割・社会参加の両方がうつの抑制に重要。女性はどちらか一方でうつの抑制効果がある。(役割については、アンケートで聴取。自治体の会長、会計係など、とのことで、幅があるものと考えられます。)
- 支援の重要性: 性別に応じた支援がウェルビーイング向上に寄与。
まとめ
- 性差は生物学的、心理的、社会的要因から成り立ち、高齢者の認知症やうつ病に影響。
- 性別ごとに異なる健康支援を提供する必要性が強調される。
- 性差に配慮したウェルビーイング向上が疾病予防の観点から重要。
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