2024年1月2日火曜日

YUAD3周年

YUADは、3周年になりました。
おかげさまで、コンサルの件数は順調に伸びており、2023年も、無事に売り上げは成長しました。代表の中小企業診断士登録が済みまして、2024年は、さらに活動の幅を広げたいと思っております。

 さて、認知症の業界では、2023年の年末にビッグニュースがありました。エーザイ株式会社から、発症予防薬、抗アミロイド抗体のレケンビ(レカネマブ)が発売となりました。実際の使用にはハードルがありますが、ここから、認知症の診療は変化が出てくると考えられます。
 基本的に、認知症は、老化の過程で起こってくるある程度自然な現象だと感じることが多いですが、とはいえ、病気としての側面も無視はできません。認知症のために、マクロ的な経済的、人的な負担は大きいですし、ミクロ的にも、その人の尊厳を考えると、自分事として対策は必要であると考えてしまいます。発症の予防薬はこれからも、開発が進むでしょう。老いることの意味が、改めて見直されるときが来たと思います。自分ごととして考えたり、ご家族と、老いについてはなしあったりという、そして、人生をどうしていくか、という人生会議がますます重要になっていくと考えられます。

 最近の統計で、アメリカのZ世代が何を一番重視しているか、というアンケートの結果がでていました。圧倒的に、メンタルヘルスだそうです。医学部受験の試験にディベートがあったのですが、「病気があっても、人は幸せでいられるか?」というテーマがお題でした。私は、精神科医になりたいと思って受験していたので、メンタルへするの重要性を熱心に話した覚えがあります。現在、コロナや、インターネットなど、世の中が大きく変わっていくなかで、メンタルをよく保つことの重要性がこれからさらに注目されていくでしょう。一方で、コロナ禍や人材難で、メンタル不調を持っている人も、就労はしやすくなっているという統計もあります。ともに生きるという視点を、企業も持つように変わってきています。2024年は、障がい者総合支援法が改正されます。企業にとっても、合理的配慮という義務が課されるようになってきます。

 老年期も、若い世代でも、医療ビジネスは、共生と予防のバランスが大事になってくるなと思うわけです。さらに、倫理観と経済性というバランスも大事になります。ヘルスケア・メディカルというのは、こうした多くの事への配慮をこなしていく必要のある分野です。専門性を求められますし、常に勉強も求められます。診療報酬・介護報酬の改定や、新しい技術や、多くのヘルステックの出現など、外部環境の変化が著しいです。企業さんとの話し合いでは、多くの社長さんが、熱心に課題に取り組まれているのを目にします。岩盤規制の、難しい領域であると思いますが、その課題に向き合うことで、少しでも健康が維持され、Well-beingが保たれるというのは、大事な活動であると思っております。

 YUADは、2024年も引き続き、病院・地域・社会がより健康であるために伴走していきたいと考えております。

2023年6月13日火曜日

共生と予防

 認知症の専門医をして日々臨床をしております。

また、中小企業診断士試験合格者として、認知症予防などを考えるヘルステックなどの支援もしております。


認知症は、年齢が上がれば、誰でもなります。

70代で発症だと病気でしょうか。100歳だったら、むしろ普通でしょうか。

病気と捉えたら、治療が大事。いずれなる運命だと捉えたら、少しでも遅らせることが大事。

病気にならないに越したことはないので、予防は大事ですよね。

一方、これだけ認知症の人がいたら、その人達が共生できるように支援することも大事です。


ヘルステックが、メディカルで、勝負するのは、ハードルが高いので、ヘルスケアに行きがちとは思います。

私も多く支援していますし、認知症予防については、ずっとお話もできます。

でも、困っている人がいたら、なんとか、してあげられる病院というのも、大事な仕事とも思います。

どっちつかずで、中途半端ですが、どっちもできるのは、ありがたいことに思います。


共生と予防のバランスは、常に取らなくてはと思っております。

むしろ、病院外での活動の幅が増えてきて、よけいそう思うようになりました。

2022年9月13日火曜日

認知症の人とどう付き合うか

認知症の人との付き合い方については、相談されることがとても多いです。

分解すると、「認知症」の「人」ですから、認知症自体の特徴と、その人自体の特徴を理解することが必要です。

「認知症」については、一般的には、多くの情報を処理することが難しくなりますから、わかりやすく、大きな声で、ゆっくりと。ということが基本です。

まず、手を挙げて挨拶をすることが多いです。これは、手を挙げることで、耳の聞こえにくい人にも伝わりますし、注意をこちらに向けてもらうということができます。

生活のことや、将来のこと、病気のことなど、詳しく話し合わないといけないこともあるとは思います。

例えば、デイサービスに通ってくれない、というのは、よく聞く話ですが、

細かく話して、説得するよりも、実際に見学にいって、体験するほうが、早いこともあります。たくさん話すと、情報が多すぎて、わからなくなったり、言いくるめられていると、不安になったりします。難聴で、よく聞こえていない、ということもよくあります。

一度で、全部説明しようとせず、焦らないことが大事です。


さて、「人」の部分ですが、認知症になったからといって、それまでの性格がガラッと変わるわけではありません。もともと、内気な人は、認知症になって外交的になる、ということはあまりないでしょう。もともとの、家族との関係も重要です。家族だからこそ、話が通じなかったり、喧嘩になってしまう、ということももちろんあるでしょう。

無理に、家族だけで対応しようとせずに、他の親戚、ケアマネージャーさん、かかりつけの医師、認知症の専門医、など、別のだれかから、言ってもらうほうが、了解しやすい、ということもあるかと思います。また、伝える側が、本当にその人のためを思っている気持ちを持っていることも、コミュニケーションにとっては、重要です。

2022年4月2日土曜日

認知症についてのアスクドクターズでの連載①

2021年10月から、アスクドクターズで、認知症について解説する連載の機会をいただきました。無事に最終回を迎えられまして、ご声援ありがとうございました。医学雑誌に論文を投稿する場合と違う執筆経験は、新鮮でした。できるだけ平易に解りやすくと思い執筆しました。編集の越膳綾子さんには、感謝です。


連載は終わったのですが、書ききれなかったことや、雑感もあり、少し振り返りをしたいと思います。


私に与えられたテーマは、以下の6項目でした。

認知症とはなにか

認知症とどう付き合うか

認知症の困った症状との付き合い方は

認知症との共生と予防

認知症と睡眠との関係

認知症の看取りについて


それぞれ、私が、診療で患者さんやご家族にお話する時に、軸とする内容です。診療のときには、患者さん個別の状況がありますので、さらにプラスアルファのアドバイスを行ったり、支援を検討します。

この連載で、繰り返し書いたのは、「その人の人生」を、というワードです。

言うは易し、行うは難し。

診療の場面では、人生をじっくり聞くまでに至れないことが多いのです。ご家族から、もともとどういう人であったか、どういう生活、性格の人なのか、ということは聞きますが、人生のすべてを聞いていくことはできません。また、ご家族にしても、その人の人生のすべてを知っているわけではないでしょう。

だからこそ、臨床の中で、人生について触れることができた時に、貴重な瞬間だなと思います。認知症であっても、今までの人生があったということを再確認します。認知症の患者、ではなく、認知症の人、を見ているということ。これは、とても貴重な経験なんだと思わされます。

2021年12月16日木曜日

YUAD一周年

2021年12月16日で、YUADは、一周年となりました。

この1年、病院さん、スタートアップさん、その他企業の新規事業開発の方たちと、たくさんお話をさせていただきました。また、連載もさせていただいています。ありがとうございました。

アドバイザーのお仕事をしての感想としては、精神医学の勉強を、別の角度でもう一度しているような感覚です。ニーズを聞いて、一緒に問題点をあきらかにしていくのは、まさにカウンセリングの作業と共通しています。また、心理的に、信頼感、安心感がないと、なかなかよいセッションにならないことも、同じだなと思いました。

もちろん、精神医学の知識、経営学の知識など、専門知識として覚えておくべきこともたくさんありますが、何より私が今まで培ってきた患者さんとの対話、という点が最も大事であると感じます。

精神科研修医のときに、指導の先生から、「処方に逃げてはだめだよ。セッションは一期一会だと思って、次会えるという保証も無いところで、どれだけの出会いになるかだよ。」と指導いただきましたが、重なる部分あるなと感じています。難しいお話もありましたが、一つ一つの機会に取り組みながら、その都度発見があるなと感じておりました。

精神医学は、病気を扱うので、マイナスを、できるだけゼロにしていく(ノーマライズしていく)作業ですが、YUADは、さらにプラスにしていく作業だと思っています。しかし、どちらにしても、人の支援ということでは、大きくは変わりないのかなと感じています。

これからも、引き続き、「あなたの」お役に立てればと思っております。あなたのアドバイザーで、YUADです。どうぞ、よろしくお願いいたします。

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