心理的な支援をするというときに、相手がどのような人なのかを掴むことで大まかな軸が決まることがあります。この軸があると、悩むことが少なくなりますので、早く無駄なく、何をすべきかにより集中することができます。今日は、高齢者と対話をするときの話です。
高齢期の発達課題として、発達心理学者のエリクソンは、「統合と絶望」ということを挙げています。高齢期は、今までの人生の総まとめという時期です。長い人生の中で、今までしてきたこと、出会ってきた人、周りへの影響などについて振り返ることが、多くなると言われています。それは、高齢期特有の、退職、老化、病気、社会とのつながりの低下、死別といったイベントを通して、自分の人生と自分の死に直面化せざるを得ない状況となりやすいからです。
「統合と絶望」と難しく書かれていますが、自分の人生を、良い人生だった!と思えるのが、統合。そして、その逆が絶望です。高齢者自身は、統合の達成を目指すこととなり、高齢者を支える側の人たちは、高齢者本人の統合をサポートするということになります。
高齢者と関わる時の一番大事な姿勢は、この関係性です。支援者の立場として、人生の大先輩としての高齢者の考え方、行動を受容し、肯定するという姿勢が大切になります。高齢者に、認知症があろうとなかろうと、関係のないことです。特に、認知症があるときは、高齢者本人が自分の人生を語れないことがありますから、高齢者と関係のある人たちから、その人の人生について積極的に聞くということも重要になります。目の前の高齢者を、人生の物語の主人公であると捉えることで、意思のある一人のかけがえのない人として扱うことにつながります。
個別のケースでは、状況に応じてさらに細かい工夫が必要ですが、軸となる基本姿勢を持つと、迷った時に、判断がつきやすくなります。
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