前回、神経症は心理学、精神病は精神医学が担当と書きました。
しかし、こころの病気というのは、複雑で精神病と神経症にきれいに分けられないこともあります。特に現実検討力は保たれているのに、観察自我が不十分というケースあることがわかってきました。神経症と精神病の間なので、このようなケースを境界例と呼ばれました。
この境界例は、精神分析的なアプローチが効果的な人もいれば、精神医学的なアプローチが効果的な人もいます。また、だいたい両方のアプローチを組み合わせることが必要になります。心理学の側からは、精神病へ範囲を広げようとしますし、精神医学の側からは神経症に範囲を広げようとします。それぞれのアプローチが生まれてきました。ここから、精神医学と心理学は一気に複雑に枝分かれしていきます。
カーンバーグという人が、人格構造理論というのを立てて、複雑な状況を整理しています。
こころの病気には、病態水準があって、「正常」「神経症」「境界」「精神病」の順に病理が深くなります。病態が下の状態では、それより上の病態の症状を呈することがあります。(例、統合失調症の患者さんが、不安を呈する。○ありうる)しかし、病態が上の状態では、それより下の病態の症状を呈することはありません。(例、不安障害の患者さんが、幻覚妄想を呈する。✕ありえない。)
境界のケースの治療は難しいことが多いのですが、技法もあります。こころの病気をこのように分類することで、どのようなアプローチが有効か、患者さんのなにを補ってあげるのかの、大まかな指針ができてきます。
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