こころについて、いろいろな考え方がありますが、心理学と、精神医学って何が違うの?とよく聞かれたりします。これも境界は曖昧で、クリアに分かれるものではないですが、一つの説明をします。
ジークムント・フロイトが、精神分析というのを創出するのですが、フロイトは心の病気を、精神病と神経症に分けました。
精神病というのは、幻覚や妄想を呈し、背景には、思考障害があります。思考障害は、現実検討力と観察自我のどちらも不十分な状態です。精神病の代表である統合失調症では、現実検討力(自分の外の刺激をただしく認識すること)や観察自我(自分の思考を客観的に見つめること)の2つが両方とも病的に不十分です。このため、幻覚や妄想といったことを知覚したり、着想してしまい、囚われてしまいます。
一方、神経症の代表である、不安障害などでは、現実検討力と観察自我は、ストレスにより多少おちていますが、幻覚や妄想を呈する程には障害されていません。フロイトは、神経症の患者さん達に対して、自由連想という方法で、語ってもらって、そこから心のありようを深く探っていくという方法をとりました。これがカウンセリングにつながっていきます。
精神病の患者さんに精神分析的なカウンセリングを使うと、悩みがより深まってしまうことがあり、デメリットが大きいです。いろいろ考えてもらうよりは、まずは、病気の説明や休養、薬物療法などを優先させて、ある程度現実検討力と観察自我が回復してきたら、悩み事にフォーカスしていくという順番を取ることが多いです。(患者さんごとに状況は違うので、個別に応用は必要です。)
フロイトは、心理学の土台を神経症においたという点で大事なことをしたと思います。ここから、大雑把に神経症は心理学、精神病は精神医学の担当になりました。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。