【特集】認知症を社会で支える:多面的な取り組みの現在地
日本では、高齢化の進行に伴い、認知症と共に生きる人の数が増えています。今や認知症は、医療だけでなく、介護、教育、企業活動、そして社会全体で考えるべき「共生と予防のテーマ」です。
■ 予防できる認知症、支え合う認知症
近年の国際的な研究では、認知症の約45%が予防可能であると示唆されています(Lancet 2024)。教育や運動、社会的交流、睡眠、生活習慣病の管理などが重要とされており、「早すぎる予防はない」ことが明らかになっています。
また、医療では薬物療法(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬やメマンチン)に加え、抗アミロイド抗体による新しい治療法の登場も注目を集めています。
■ 地域で支える認知症ケア:横浜舞岡病院の実践
横浜舞岡病院は、横浜市で最初に認定された認知症疾患医療センターのひとつとして、医療・福祉・地域連携のハブとして活動を展開しています。
認知症サポート医講習会
地域への普及啓発(講師派遣・市民講座)
若年性認知症カフェの運営
認知症緩和ケア評価スケール(EOLD-J)の研究と活用
歩行解析(Moffバンド®使用)による移動能力低下の早期発見
抗アミロイド抗体薬に対応したフォローアップ施設の整備
■ 人生会議とエンドオブライフ・ケア
認知症は進行性の疾患であるため、本人の意思が伝えられるうちに治療やケアの選択を話し合っておく「人生会議(ACP)」が重視されています。
■ 企業と連携した予防研究:J-MINT PRIME Kanagawa
国の大型研究「J-MINT」プロジェクトの一環として、横浜市の若葉台団地では、住民を対象にした認知症予防の実証実験が進行中です。Fitbitを用いた睡眠と運動量の解析が行われています。
■ 認知症と共に生きる社会のために
認知症への取り組みは、医療や介護だけでなく、予防・教育・研究・産業・地域社会まで多岐にわたります。
認知症が「特別なこと」ではなく、誰もが関わる「ふつうのこと」として支え合える社会づくりに向けて、今後も多角的な取り組みが求められます。
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